特定非営利活動法人 肺高血圧症研究会は肺高血圧症患者とその関係者に対し、啓蒙活動などを通して広く公益に寄与することを目的として設立されました。

治療編

<最近肺高血圧症に承認された薬>
*アドシルカ(PDE5阻害薬)

カテーテルデータ・臨床症状・クオリティ・オブ・ライフ(QOL)運動能力(6分間歩行距離)を改善することがわかっています。長時間効いているのが特徴です。

*ヴォリブリス
肝臓への副作用が少なく、他のお薬との飲み合わせの心配がない新しいタイプのエンドセリン受容拮抗剤です。1日1回の服用で、食事による影響を受けません。効果は今までの薬剤と同じくらいと言われています。

今では数種の抗がん剤(副作用の少ない・安全性の高いタイプです)も治験中です。次世代の血管壁が厚くなるのを抑える治療薬として期待されています。 皆さん、古い文献だけを読んで不安にならないで下さいね!

肺高血圧症はそれが特発性であれ二次性のものであれ難しい病気であり、その現実は今も昔もかわりません。
それでも最近では世界中の研究者たちが肺高血圧症のために切磋琢磨して下さっており、その結果、数々の有効な治療法が生まれて来ています。
有り難い事に、医学の日進月歩は凄いスピードで為されています。
ですから、どうぞ古い文献だけを読んでショックを受けないで下さい。
病気と正しく付き合う事で、私達も私達なりに「元気」に過ごす事が出来る世の中になってきています。
私達はこのホームページが皆さまが病気と共生していく上での「夢と希望」になる事を心から祈っております。

肺高血圧症ではどんな治療が有効なの?

肺高血圧症の重症度と治療の関係
これまでは、肺高血圧症には適切な治療薬がなく、長い間治療を受けていても患者さんの生活の質(QOL)の改善や著しい治療効果は、なかなか得られませんでした。しかし、最近になっていろいろな薬が開発され、治療の成績もあがってきました。特に、血管拡張薬を使った治療は、これまで以上に高い有効性が示されています。 なお、治療をはじめるにあたっては、それぞれの薬の特徴や作用・副作用を十分に理解し、主治医とよく相談しましょう。

●薬物治療:血管拡張療法
肺高血圧症の患者さんでは肺細小動脈の内腔がせまくなっていますが、この肺細小動脈を拡張させることにより血液が流れやすくなり、肺動脈圧が下がります。これにより、拡張した心臓や太くなった肺血管への負担が軽くなります。 肺動脈性肺高血圧症(PAH)治療のガイドラインでは、軽・中等症のPAH治療にはレバチオとトラクリア、ヴォリブリスが、重症のPAH治療にはフローランが強く推奨されています。

経口血管拡張剤

カルシウム拮抗役
血管を縮める作用のあるカルシウムを抑制することで血管を広げます。1日1回服用のアダラートLなどがあります。

ベラプロスト製剤
生体内にあって、肺血管を拡張する働きを持つプロスタサイクリンT2を経口薬として開発した薬剤であり、1日2回服用製剤と3回服用製剤の2種類があります。

エンドセリン受容体拮抗薬
生体内にあって、肺血管を収縮する働きを持つエンドセリンの働きを阻害することで、肺血管を拡張します。1日2回服用のトラクリアと1日1回服用のヴォリブリスがあります。

PDE5(ホスホジエステラーゼ5型)阻害薬
生体内にあるNO(一酸化窒素)によって生成されるサイクリックGMP(cGMP)は肺血管を拡張する働きがあります。PDE5阻害薬はcGMPの分解酵素であるPDE5の働きを阻害することで、cGMPによる肺血管拡張作用を増強します。
1日3回服用のレバチオと1回服用のアドシルカがあります。

プロスタサイクリン持続静注療法

プロスタサイクリン製剤(フローラン)を持続的に静脈内に注入する。この薬は体内に入ると数分以内に分解され作用を失ってしまうため、下記のようなポンプを用い持続注入します。

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●薬物治療:抗凝固療法
肺高血圧症の患者さんでは、血液が固まりやすく、肺動脈内に血栓がみられることがあります。このため、血流を改善して抗凝固薬や抗血小板薬を使用した方が回復がよいとの報告があります。ただし、喀血のある場合は使用しないほうがよいでしょう。

抗凝固薬・ワルファリン

血液を固まりにくくすることによって肺動脈の流れをよくします。

●薬物治療:その他
肺高血圧症により、心不全が悪化した場合は、入院が必要です。その上で、収縮力を増強する強心薬や血管拡張薬、腎臓に直接作用して尿量を増やす利尿剤が使われます。

利尿薬・ループ利尿薬(フロセミド)

・ループ利尿薬 商品名ラシックス
・サイアザイド系利尿薬 商品名フルイトラン、ナトリックス
・カリウム保持性利尿薬 商品名アルダクトンA
 ※浮腫の治療:使い過ぎると全身の水分量が減り、脱水となってかえって具合が悪くなることがあります。

●酸素吸入療法
肺高血圧症では、心拍出量が減少しており、全身へ酸素を運ぶ能力が低下してしまいます。 その結果、動脈血中の酸素濃度が低下することがあり、酸素吸入を行った方が楽になることがあります。特に労作後や睡眠後は著しく低下することがあります。酸素吸入は通常の空気より高い濃度の酸素を吸うことで、この症状を改善します。

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